かつて90年代、「メセナ」という言葉が、マスコミをにぎわした時代がありました。
「企業の文化活動支援」を意味するメセナ(フランス語)は、
いまや企業の社会的責任(CSR)に取って代わられて姿を消してしまった感があります。
しかし、不況が続き、心の崩壊が危惧される今こそ、
文化的活動とその支援は大きな意味を持ってきているのではないでしょうか?
実際に、企業としての社会的責任として芸術文化支援に取り組む企業は、
着実に活動を続けています。
また、市民の側も、それらの支援と結びつくことで、
進展できるポテンシャルを備えた団体が多くあると思います。
現に、こらぼ大森に相談にいらっしゃる方々も、福祉活動などの組織づくりと並んで、
芸術文化活動の普及啓発による「まちづくり」を望む方々がたくさんいらっしゃいます。
そこで、今回、芸術文化活動をする方たちを支援するメセナ活動を推進している
(社)企業メセナ協議会の出版物を4冊購入しました。
1冊目は 「なぜ、企業はメセナをするのか?」
2000年発行で少し古い資料になりますが、
「企業とパートナーを組みたいあなたへ」という副題が示すとおり、
メセナ活動を行う企業の取り組みの実際と、そこに込められた思いを示して、
芸術文化活動を行っている人々とのより良いマッチングを生み出すことを目指しています。
より良いパートナーシップを築くためには、お互いを知ることが何より重要です。
2冊目は 「企業メセナへのアプローチガイド」
こちらは、2006年に大阪で開催されたセミナーの記録です。
セミナーのタイトルは
「お答えします!いまさら聞けない企業への疑問
~アートと企業のパートナーシップのために~」
企業とパートナーを組んで活動したい方にぴったりの内容です。
もちろん、今すぐ取り組みたい課題のない方も、アート系の団体でなくても、
企業とパートナーシップを組む際の基本的なプロセス、マナーは同じですから、
入門編としてぴったりではないでしょうか?
3冊目は福岡で行われたシンポジウムの記録
「文化で魅力ある地域づくり~市民、企業、行政の役割~」
基調講演とパネルディスカッション、トークセッションという構成になっています。
特に、トークセッションでは、実際に芸術活動を通じて魅力的なまちづくりを企画実行した
太宰府市の若手行政職員のグループの事例報告など、
タイトルに示された「市民、企業、行政の役割」を考える上で、参考になる資料だと思います。
30p強の手軽に読める資料ですので、できれば、行政担当者にも目を通していただきたいと思います。
4冊目は、企業メセナの「今」を知る本
『「メセナ」を知る本 Mecenat Forum2010』です。
過去20年間の日本における企業メセナ活動の軌跡を追いながら、
現在の日本の状況、地域での取り組みも語っています。
近いところでは、大田区内で取り組まれている「多摩川アートラインプロジェクト」も取り上げられています。
これらの資料は、貸し出し図書として、
こらぼ大森2階情報交流室Ⅰに、オープンシェルフでおかれています。
一度、こらぼ大森に足を運んで、手に取ってみてください。
その他にも、NPOに関する図書など、そろえています。