図書情報「日本版コンパクトシティ」


こんにちは!こらぼ大森情報交流室のさかいです。

今月は、こらぼ大森の図書コーナーの本をご紹介いたします。

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「コンパクトシティ」という言葉を聞いたことがありますか?

徒歩圏内に、商業施設、公共施設、公益的施設(医療、学校など)と、労働の場が配置されている暮らしやすいまちを指します。

では、なぜ今コンパクトシティなのでしょうか?

地球温暖化に代表される環境問題や、石油の枯渇を見据えたエネルギー問題など、車から離れ、高効率のエネルギー需給を考えたまちづくりが重要だからです。

しかし、現在の日本では、未だに土地付き一戸建てへの志向が強く、

また土地を公共財とする発想も乏しいため、

都市周辺への際限ないベッドタウンの拡大が続き、

都市と農地の境がなく、秩序のない拡大が続いています。

しかも、311日の震災で、一段と明らかになったように、

地方都市ほど、車依存の度合いが高い、拡散した都市構造をもっています。

中心市街地のシャッター通り化と、郊外型の大型ショッピングセンターは、

高齢化と相まって買い物難民を生み出す大きな要因です。

その原因として、産業界や外圧に押される大型商業施設への規制緩和と、

地方の現場から求められる中心市街地活性化法案、

ブレーキとアクセルと揶揄される矛盾する法制度があります。

本書は、まず、これら法案の変遷をたどります。

その後、地方自治体によって進められようとしている、

コンパクトシティへの自治体独自の取り組みを検証します。

震災後の復興を考えるとき、グランドデザインに、

住民と共に考える姿勢と、コンパクトシティの観点が必要ではないかと考えます。

とはいえ、東京のような大都市には、不向きではないか?

という疑問を持たれるかと思います。

しかし、現在の首都圏の一極集中は、本当にこのままでよいのでしょうか?

懸念される東海・東南海や直下型地震を想定した場合、

首都圏にこそ、コンパクトシティの考え方を取り入れて、機能分散を図り、

日本全体で多軸の構造を作り上げることが、重要なのではないかと、

本書を読んで感じました。

ただ、残念ながら、本書に取り上げられている事例の一部は、

「進められようとしていた」と過去形で表記しなければならなくなりました。

地方自治体の事例でまず取り上げられているのが、福島県です。

この構想が進められていれば、福島はどのような地域を生み出していたのだろう

と考えると、適切な言葉を見つけることができません。

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とはいえ、他の被災地の今後に関して、

また、私たち自身が生活する地域に関して、

コンパクトシティという発想を参考に考えることは

大きな意味を持つのではないかと考えます。

さらに、こらぼ大森で所有する「日本版スローシティ」も合わせて読まれることをお勧めします。

ところで、今回はおまけで、もう一冊を紹介いたします。

先日、直木賞を受賞した池井戸潤著「下町ロケット」です。

ご存知の方も多いと思いますが、

本書の主人公は、大田区の中小町工場の2代目社長です。

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いくつもの町工場に囲まれたこらぼ大森にいますと、

もうそれだけでこの主人公に親近感が沸いてきます。

しかも、のっけから、ロケット打ち上げ失敗やら、

大口取引先からの取引停止通告やらと、

ハラハラ感満載で話が進んでいきます。

登場する大企業のモデルは?といった楽しみ方もあり、

一気に読まされる面白い一冊です。

区民活動とは、まったく関係ないかもしれませんが、

組織運営(特にリーダーの方)の参考にもなるのではないかと思います。

大田区つながりで、ご紹介させていただきました。

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大田区区民活動支援施設大森「こらぼ大森」

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